ハイエンドカーオーディオコンテスト

第9回 ハイエンドカーオーディオコンテスト 開催情報

日程:
2024年8月31日(土)・9月1日(日)
会場:
つま恋リゾート彩の郷(掛川市)

8月9日(金)まで各コース追加エントリー募集!

[2024-07-01] 課題曲の審査ポイントを順次公開しています。

2023年 第8回リザルト 2022年 第7回リザルト 2021年 第6回リザルト 2019年 第5回リザルト 2018年 第4回リザルト 2017年 第3回リザルト 2016年 第2回リザルト 2015年 第1回リザルト

イベントスケジュール

第8回 ハイエンドカーオーディオコンテスト
実施日時
2024年8月31日(土)・9月1日(日) ※雨天決行
8月31日(土): 8時集合(予定)
9月1日(日): 18時解散(予定)
実施場所
つま恋リゾート彩の郷(北ゲート)
〒436-0011
静岡県掛川市満水2000
TEL: 0537-24-1111(代)
FAX: 0537-62-0344
協賛
  • (※現在準備中)
タイムテーブル(5/17現在)
1日目
8/31(土)

8:00~11:00

午前中会場準備(ショップ・メーカー様)

11:00~12:00

昼休憩

12:00~16:00

ディーラークラス・ユーザーチャレンジクラス審査開始

17:00~20:00

アーティストライブ・表彰式・食事・懇親会

2日目
9/1(日)

8:00~8:45

ユーザー車両搬入

9:00~9:30

開会式

10:00~12:00

午前審査

12:00~13:00

昼休憩

13:00~16:30

午後審査

17:00~18:00

表彰式

18:00~

搬出

スケジュールの詳細内容につきましては、決まり次第ご報告させていただきます。

コンテストクラスと参加資格

当コンテストでは2部門5クラスを設定。本年度は8月31日(土)にディーラーデモカー部門ディーラーデモカークラスと、ユーザーカー部門チャレンジクラスを行い、9月1日(日)にユーザーカー部門ハイレゾエキスパート A,B,C クラスを行います。

土曜日のチャレンジクラスと、日曜日のハイレゾエキスパートクラスダブルエントリーが可能です。

コンテスト参加条件など

エントリー車両台数制限につきましては、ディーラーデモカークラスは1店舗につき2台まで。ユーザー部門の各クラスにつきましては、台数に制限はありません。

同伴者様の参加も可能です。

費用・宿泊・食事

土曜日からの参加者は夕食代、宿泊の施設利用料としてお一人様あたり¥17,000(税込み)をご負担いただきます(同伴者の方も同様)。

土曜日から参加される方はイベント終了後、施設より退場することができませんので、つま恋ホテルに宿泊となります。4人部屋となるため、部屋割りは事務局で決めさせていただきます(基本的にお店単位でとなります)。

日曜日のみのエントリーの方も土曜日のアーティストライブ、表彰式、食事、懇親会に参加していただけます。つま恋に宿泊となりますので、利用料お一人様あたり¥17,000(税込み)となります。

日曜日だけの参加者は施設利用料はかかりません。

昼食につきましては8/31日(土)、9/1日(日)ともにお弁当を用意いたします。それぞれ¥1000(税込み)になります。食事時のお飲み物も用意しております(同伴者の方も同様)。

つま恋リゾート彩の郷でのコンテスト開催について

つま恋施設内のカート場を会場とし審査を行います。

初日の8/31日(土)にディーラーデモカークラスにエントリーのショップ様にお集まりいただき、午前中に会場設営、準備を行い、午後から審査を行う予定です。ユーザークラスにつきましては午後から来場順に抽選をして審査の順番を決めます(スケジュール変更になる場合がありますのでホームページで確認していただくようお願いいたします)。

8/31日(土)の表彰式はつま恋施設内のコンベンションホールにて行います。食事をしながらの表彰式の予定です。

2日目の9/1(日)のユーザークラスにつきましては来場順に抽選をして審査の順番を決めます。午前、午後ともに審査をし、夕方よりコンベンションホールにて表彰式を行います。

屋外会場となりますので、エンジンをかけて審査となります。

ショップ様用関連資料PDFダウンロード

コンテストカテゴリー詳細

ディーラーデモカー部門

ディーラーデモカークラス

審査日 8月31日(土)
エントリー代 ¥ 20,000
エントリー用紙PDF版 Excel版
内容

ショップの腕を競う最高峰クラス。商品、再生メディアに制限はありません。

8/31(土)の審査となります。上位10台が入賞となります。

ユーザーカー部門

チャレンジクラス

審査日 8月31日(土)
エントリー代 ¥ 10,000
エントリー用紙PDF版 Excel版
内容

ポータブルDAPを含むメモリープレーヤーでの審査となり、その他のシステムに制限はありません。当コンテスト課題曲とは別に、審査員課題曲1曲と、エントリーユーザーが選ぶ課題曲の合計2曲で審査いたします。選ぶ課題曲にジャンルなどの制限はありません。

8/31(土)の審査となります。上位10台が入賞となります。

ユーザーカー部門

ハイレゾ・エキスパート Aクラス

審査日 9月1日(日)
エントリー代 ¥ 20,000
エントリー用紙PDF版 Excel版
内容

ハイレゾでの審査が条件となります。ポータブルDAPを含むメモリープレーヤーでの審査となり、その他のシステムに制限はありません。

9/1(日)の審査となります。上位10台が入賞となります。

ハイレゾ・エキスパート Bクラス

審査日 9月1日(日)
エントリー代 ¥ 20,000
エントリー用紙PDF版 Excel版
内容

ハイレゾでの審査が条件となります。ポータブルDAPを含むメモリープレーヤーでの審査となり、その他のシステムに制限はありません。

9/1(日)の審査となります。上位10台が入賞となります。

ハイレゾ・エキスパート Cクラス

審査日 9月1日(日)
エントリー代 ¥ 20,000
エントリー用紙PDF版 Excel版
内容

ハイレゾでの審査が条件となります。ポータブルDAPを含むメモリープレーヤーでの審査となり、その他のシステムに制限はありません。

9/1(日)の審査となります。上位10台が入賞となります。

※日曜日のユーザークラスにつきましてはハイレゾエキスパートのみの開催となります。クラス分けに関しましてはエントリー締め切り後の集計にて平均でクラス分けをするものとします。

土曜日のチャレンジクラスは日曜日のハイレゾエキスパートクラスとのダブルエントリーの場合のみとなります。土曜日だけのエントリーは不可。日曜日だけのエントリーは可能です。

※各クラス入賞は上位10台としていますが、エントリー台数により変更になる場合があります。

各クラス注意事項

使用する海外ブランド製品については正規輸入品に限ります

ディーラーデモカークラス

  • ショップデモカー、もしくはそれに準ずる車である事。お客様の車はユーザークラスにエントリーしてください。
  • 再生プレーヤーについては車載用に限ります。ただし、ポータブルDAPについてはその限りではありません。コンテストに使用するプレーヤーは事務局では用意いたしませんので、装着しているプレーヤーでの審査となります。
  • ハイレゾでの審査となります。

ハイレゾ・エキスパートクラス/チャレンジクラス

  • 再生プレーヤーについては車載用に限ります。ただし、ポータブルDAPについてはその限りではありません。コンテストに使用するプレーヤーは事務局では用意いたしませんので、装着しているプレーヤーでの審査となります。ハイレゾが再生できればナビユニット等でも問題ありません。
  • クラス分けのシステム金額についてはヘッドユニット(DAP)、D/Aコンバーター、プロセッサー、パワーアンプ、スピーカーの合計金額となります。ケーブルやアクセサリーなどはシステム金額には含まれません。基本的に商品の税抜き定価で計算してください。価格改定などで購入時と、現時点での価格が違う場合は、現時点での定価での計算をしてください。DAPやナビゲーションなど定価が定められていない商品は実勢売価及び購入金額で算出してください。
  • チャレンジクラスにつきましては、当コンテスト課題曲は使用せず、審査員選定のにチャレンジクラス用課題曲を使用します。エントリーされているユーザーが選んだ曲をもう一つの課題曲とし、合計2曲で審査します。クラシック、ジャズ、ポップス等、ジャンルは問いません。ご自身のお車のシステムに合った課題曲を選んでいただき、エントリーしてください。

その他注意点

エントリー車両の条件

審査方法

審査基準

表彰

審査員のご紹介

小原由夫先生

小原 由夫先生

オーディオビジュアル評論家。エンジニアの経歴を持ち、システムの追求を怠らない実践派として有名。

山之内正先生

山之内 正先生

大学在学時よりコントラバスの演奏を始め、今でも市民オーケストラで演奏会にも出演。年に数回はオペラ鑑賞などの為、海外を訪れる。その知識はオーディオ装置の評論などにも確実に反映されています。

土方久明先生

土方 久明先生

主に音元出版系媒体で活躍中のオーディオ評論家。ネットワークオーディオとPCオーディオに精通する新世代の評論家であり、様々なオーディオ誌にハイレゾ関連の執筆を行いながら、最近はオーディオ製品を取り扱う大手輸入商社でもハイレゾについて講義を行うなど、活発に活動中。

峯岸良行先生

峯岸 良行先生

prime sound studio form所属エンジニアとして活動、ミックスエンジニアとして多くのアーティストの作品に携わる。またイマーシブサウンドテクノロジーをいち早く取り入れ、映画や舞台の 3Dサウンドを制作してきた。近年はミキシングの経験を生かし、音楽スタジオの音響や音響機器の調整も行う。名古屋芸術大学非常勤講師。

岩井喬先生

岩井 喬先生

オーディオ雑誌を中学生から愛読し、高校時代に真空管アンプの自作も開始。音楽の魅力にも目覚め、音響系専門学校に進学後、都内のレコーディングスタジオに就職する。しかしソフトよりハードが好きなことを再認識し、現場から離れることに。模索を続ける中、ゲーム会社での勤務を経た後、オーディオ誌への執筆の機会を得る。『MJ・無線と実験』『Stereo』『PROSOUND』『オーディオアクセサリー』『analog』などで音楽が生まれる現場での経験を生かしたオーディオ評論を展開。アニメ雑誌の編集経験も踏まえ、いち早く“萌え”とオーディオとの親和性に気づき、イラストとのコラボ『Soundgirl』などを執筆。『アニソンオーディオ』の監修も手がけた。

秋山真先生

秋山 真先生

音響の専門学校を卒業後、CDマスタリング、DVDエンコードのエンジニアとしてキャリアをスタート。2007年には世界一のBDを作りたいと渡米し、パナソニックハリウッド研究所(PHL)に在籍。ハリウッド大作からジブリ作品に至るまで、名だたるハイクオリティ盤を数多く手がけた。帰国後はオーディオビジュアルに関する豊富な知識と経験を活かし、評論活動を展開中。2019年からは日本オーディオ協会の職員として協会運営にも携わっている。

1日目 8月31日(土)

  • ディーラーデモカークラス:審査員 小原先生、山之内先生、峯岸先生、岩井先生
  • チャレンジクラス:審査員 土方先生、秋山先生

2日目 9月1日(日)

  • ハイレゾ・エキスパートAクラス:審査員 山之内先生、秋山先生
  • ハイレゾ・エキスパートBクラス:審査員 小原先生、岩井先生
  • ハイレゾ・エキスパートCクラス:審査員 土方先生、峯岸先生

※エントリー台数によって審査員は変更になる場合があります。

エントリー方法

会費・エントリー費 振込先

三十三銀行 阪南支店 普通口座 6002622

ハイエンドカーオーディオ協会きょうかい事務局じむきょく 代表だいひょう 畑中はたなか光一こういち

課題曲

ディーラーデモカークラス/ハイレゾ・エキスパート ABCクラス

Lizz Wright / Shadow

ハイレゾ配信: https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00810069450902/

Lizz Wright / Shadow 審査トラック:Track 2/Your Love(feat. Meshell Ndegeocello, Brandee Younger)

Rimsky-Korsakov: Scheherazade, Op. 35 - Mussorgsky: Night on Bald Mountain - Antonio Pappano,Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia/Antonio Pappano/Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia

ハイレゾ配信: https://www.e-onkyo.com/music/album/wnr5054197933769/

Rimsky-Korsakov: Scheherazade, Op. 35 - Mussorgsky: Night on Bald Mountain - Antonio Pappano,Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia/Antonio Pappano/Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia 審査トラック:Track 5/Night on Bald Mountain (1867 Version) [Live]

チャレンジクラス

ラフマニノフ:交響曲第2&3番、交響詩《死の島》 - フィラデルフィア管弦楽団/ヤニック・ネゼ=セガン

ハイレゾ配信: https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028948647798/

ラフマニノフ:交響曲第2&3番、交響詩《死の島》 - フィラデルフィア管弦楽団/ヤニック・ネゼ=セガン 審査トラック:Track 9/Rachmaninoff: 交響曲 第3番 イ短調 作品44 - 第3楽章: Allegro

審査のポイント

Lizz Wright / Shadow

Track 2「Your Love(feat. Meshell Ndegeocello, Brandee Younger)」

小原由夫先生

ゴスペルをベースとしたソウルフルでスピリチュアルな歌唱が魅力のシンガー。その伸びやかで太い声を車内でどう再現するかが問われるが、ヴォーカルは明瞭に前に出てくる。決して細身の音像ではなく、鮮明な定位だ。ミシェル・ンデゲオチェロの粘気と芯のあるヘヴィなベースもキーポイント。その音階が克明に聴こえるように意識してほしい。ブランディー・ヤンガーの弾くハープとハンドクラップが音場内の少し後ろにあり、ギターのメロディといい感じに絡む様子もクリアーに出したい。

山之内正先生

リズ・ライトの低音域の太さと暗めの音色を忠実に引き出すことが最大の課題。ハープ、ベース、パーカッションがそれぞれ印象的なフレーズでサポートするが、あくまで主役はヴォーカル。歌詞を聴き取りやすい録音なので、その良さを活かすために声と他の楽器のバランスを適切に整えることを心がけたい。その上でギター、ハープ、ベースの音形が曖昧にならないように発音と音色を追い込み、立体的なサウンドに仕上げることが望まれる。

峯岸良行先生

リズ・ライトの「Shadow」は、ゴスペルを基調にしたソウルフルでスピリチュアルな歌唱が特徴の楽曲である。その最大の魅力は、伸びやかで太い声の表現力にある。ヴォーカルは倍音豊かな音色で明瞭に前に出てくるとともに、Plate系、Room系のやや強めな空間エフェクト成分がリスナーを包み込む。

粘り気と芯のあるヘヴィなベースラインが楽曲の基盤を支える。ミシェル・ンデゲオチェロによる、ベースのフィルは、ところどころ、モジュレーションで左右にひろげてあるのが面白い。ドラムは控えめな表現ながら、ややLRの位相がずれた、スネアとキックドラムが不思議な音像で響く。トレモロとコーラスでLRいっぱいに広がったエレピとオルガン、ブランディー・ヤンガーのハープと、ギターのメロディとが正確なリズムで美しくレイヤーされている。

再生においては、リズ・ライトの太くスピリチュアルな声を明瞭に前に出すことが重要である。やや歪みっぽいミックスであるが、そのままモニター的に再生しても良いし、低域に関しては、量感豊かに再生することが重要で、ミシェル・ンデゲオチェロのヘヴィなベースラインの音色をしっかりとその粘り気を損なわないように再生することが求められる。またステレオで近接収録されているハープとハンドクラップの絶妙な空間配置を再現し、ギターとハープとが絡み合う音場の立体感を保つことが重要である。

岩井喬先生

ゴスペルシンガーでもあるリズ・ライトのソウルフルで存在感のあるボーカルの逞しさ、芯の厚み、安定感を引き出したい。コーラスとの重なりは各々の声の厚みと分離の良さも求められる。リヴァーブ感は少なめであり、声や楽器の音色はドライな傾向のため、色付けなく表現したいところ。ドラムセットは奥へ定位しており、キックドラムのファットなアタックや余韻、音像の周囲にあるエアー感もすっきりと聴かせたい。ミシェル・ンデゲオチェロによるファンキーなベースと、ブランディー・ヤンガーによるハープなど、耳に残るパートも多く、それぞれ丁寧な描写が必要とされる。中央に定位し、一定のフレーズを繰り返すエレキギターのミュート音や、クリーントーンギターの音色がハープとも近く、これらの楽器との描き分けができるかどうか。また電子ピアノに加え、後半になると奥にハンドクラップやオルガンも重なってくるので、それぞれが混濁せず、立体的かつ重層的に描けるようにしたい。

Rimsky-Korsakov: Scheherazade, Op. 35 - Mussorgsky: Night on Bald Mountain

Track 5「Night on Bald Mountain (1867 Version) [Live]」

小原由夫先生

私たちが知っている「禿げ山の一夜」と比べて、打楽器の使い方がたいそうダイナミック(というか派手)。特にティンパニの打音は強烈かつ狂暴。コントラバスのリズムも然りで、それらの響きが鈍重にならないよう心がけたい。トランペットやトロンボーン、チューバを軸とした管楽器の響きも、劈くように凄まじい音色。弦の合奏は、サウンドステージを切り裂くように激しい緩急で動き回る。演奏は全体に硬質なムードだが、それがやかましかったり、うるさく感じられないよう再生するのは至難の業かも。そうした印象を抱かせずに3分辺りまで聴ければベスト。

山之内正先生

作曲家がイメージした光景の異常さを想像しながら粗野でストレートな曲調を正確に再現することが課題。R.コルサコフ編曲版のような密度の高いハーモニーは楽譜に書かれていないので、荒々しいリズムと鋭い旋律をそのままダイレクトに再現するのが正解だ。「サバト(魔女の饗宴)」の奇怪な情景を想像するにはベルリオーズ「幻想交響曲」の第5楽章が参考になる。手前に展開するヴァイオリン群とステージ奥のティンパニ、金管楽器群の距離感を再現することも重要。

峯岸良行先生

ムソルグスキーの「禿げ山の一夜」(1867年版)は、力強くダイナミックな打楽器と鋭い管楽器の響きが特徴だ。ティンパニやコントラバスのリズムは圧倒的で、トランペットやトロンボーン、チューバの音色も鋭く印象的である。弦楽合奏は激しい緩急で動き、全体に硬質なムードを醸し出す。この演奏は、各楽器の位置関係や空間表現が明瞭で、特に低域パートと管弦パートのエネルギッシュな描写が求められる。これにより立体的で重層的なサウンドが楽しめる。

2019年のライブ録音で、ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団とアントニオ・パッパーノの長年の信頼関係が生み出したダイナミックなサウンドが特徴だ。特に低域パートの量感や、管弦パートのエネルギッシュな表現が際立ち、各パートの位置関係も明瞭に描写されている。トライアングルやシンバル、ティンパニ、タンバリンの定位も明確で、左右チャンネル間の繋がりもシームレスだ。

この楽曲の再生においては、空間表現の微細な部分まで引き出すことが求められる。

打楽器の強烈な響きを活かしつつ、ティンパニやコントラバスのリズムが鈍重に感じられないように注意が必要だ。また、管楽器の鋭い音色が耳障りにならないようバランスを取り、弦楽合奏の激しい緩急を再現することが肝要だ。ステージ奥のティンパニや金管楽器群と、手前のヴァイオリン群の距離感をしっかり再現し、全体のバランスを保つことが求められる。

岩井喬先生

ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団にて18年間音楽監督を務めたアントニオ・パッパーノ。その長年の信頼関係が生み出したダイナミックな演奏である。これは2019年にライブ録音された『はげ山の一夜』(原典版)で、荒々しく迫る低域パートの量感、それに負けないエネルギッシュで鮮度の高い管弦パートの描き分けがポイントとなろう。マイクと楽器との距離は近い印象で、各パートの位置関係も明瞭だ。特にアクセントとなるトライアングルは左側、シンバルは右側、ティンパニやタンバリンは中央付近に適度な広がりを持って定位する。左右チャンネル間の繋がりもシームレスであり、奥行き方向の音場感もしっかりと細く。鮮やかに浮き立つ金管パートや力強い弦楽器パートの直接的な描写だけでなく、この空間表現の機微が引き出せるかが勝負だ。おどろおどろしい大太鼓の強弱つけた連打のニュアンスと弦楽器の低音パートにおけるピチカートの粒立ちなど、低域方向の階調性、見通しの良さも重要となる。

ラフマニノフ:交響曲第2&3番、交響詩《死の島》

Track 9「Rachmaninoff: 交響曲 第3番 イ短調 作品44 - 第3楽章: Allegro」

土方久明先生

クラシックのオーケストラが課題曲に上がることは多く、分解能や壮大さ、歪みのないステージ表現、各楽器の位置関係の提示など基本となるポイントについては都度書かせてもらっている。その上で本楽曲の“聞かせどころ”を考えたとき、改めて楽曲のこと、楽団と指揮者の立ち位置や特徴について考えてみたい。

セルゲイ・ラフマニノフの手により1936年6月6日に完成した交響曲で、「第3楽章: Allegro」は第1楽章同様にエネルギッシュな音楽性を持ち、スタートから躍動感溢れ途中様々な副主題をはさみつつフィナーレを迎える。そして演奏するフィラデルフィア管弦楽団の本拠地はアメリカだ。「フィラデルフィア・サウンド」と言われる「ゴージャス」な音色を持ち味の1つとしている。指揮者のヤニック・ネゼ=セガンは2012/13シーズンから同楽団の第8代音楽監督に就任、オーケストラに君臨するタイプではなく、メンバーの一員でありオーケストラと協調的なスタイルを取りつつ、熱狂的な演奏をすことで知られる。そしてレーベルはドイツ・グラモフォンということで、解像感を高めたような極端なハイファイ調ではなく、その中で熱狂的でゴージャズな演奏を表現できるか否かがポイントとなるはず。

冒頭のトゥッティ(全ての楽器が同時に音を出す)は第一印象が決まる重要なパートで、分解能や低音楽器の沈み込みとアタック感をしっかりと出して、ダイナミックさと壮大さを演出して欲しい。細かい部分だと、低音楽器の左右の位置関係の表現には注意が必要だ。同時にヴァイオリンやトランペットなどの吹奏楽器の音色や質感も聞かれるはず。時間が短いものの演奏が落ち着く部分も各所にある、そこでは小レベルの音の表現を左右する、SN感や透明感も求められる。といいつつも、楽曲全体を通して抑揚が激しく、演奏のダイナミクスへの追従力を高めメロディアスに聞かせて頂きたい。

秋山真先生

2023年に生誕150周年を迎えたロシアの作曲家ラフマニノフ。彼の遺した交響曲で最も有名なのは「第2番」だが、今回の課題曲は「第3番」で、晩年の作品になる。どちらもアルバムに収録されているので、まずは両方を聴き較べてみてほしい。雄大なロシアの大地を思わせるスケール感という共通点はあるものの、ロマンチックな旋律が印象的な「第2番」に対し、「第3番」の明るく華やかな響きは、ハリウッドの映画音楽のようにも感じられるかもしれない。これはロシア革命後に米国に亡命し、ビバリーヒルズにも居住したというラフマニノフの心境の変化が如実に表れているように個人的には思う。

演奏はフィラデルフィア管弦楽団。e-onkyoのサイトにも書かれているとおり、ラフマニノフとは大変繋がりが深く、1936年の初演も当楽団によるもの。それだけに“華麗なるフィラデルフィア・サウンド”とのマッチングは最高で、ヤニック・ネゼ=セガン指揮による、生き生きと躍動しながらも一糸乱れぬ演奏は見事という他ない。

昨年の課題曲が、瞬発力や持続力といったオーディオの基礎体力を問うものだったので、今年は難易度が下がったように感じられたかもしれないが、とんでもない。求められるものは一つ上の次元の調整だ。各ユニットをこれまで以上にシームレスに繋げることは大前提。目指したいのは、フロントガラスをワイドスクリーンに見立てた視覚的体験だ。それも、各楽器が見えるだけの“サウンドステージ”ではなく、曲の展開に合わせて眼前の光景が移り変わっていくような“ランドスケープ”である。できれば事前に、B&W 800D4シリーズのような超視覚的再生をするスピーカーで聴いておくことをオススメしたい。重要なヒントがたくさん得られるはずだ。(長文失礼)

協力メーカー&エリア担当/会員ショップ

協力メーカー

エリア担当ショップ

東北・北海道エリア

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sound-freaks@hb.tp1.jp

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アンティフォン(担当:松居)

TEL: 076-292-1475

FAX: 076-292-1476

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関東エリア

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TEL: 090-4670-8146

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中国・四国・九州エリア

ジパング(担当:道祖尾)

TEL: 0858-48-1365

FAX: 0858-48-1367

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